7人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・・・・、健康法や」
真夏の言葉に奈津帆はピンとくる物があった。
「彼氏できたな」
「なわけないわ」
即答だった。
真夏の態度を見ている限り、これ以上問い詰めても何も変わらないので、この件はスルーすることにした。
百貨店の催し会場。
亜季奈が店の奥から出てきた時、何か声が聞こえた。
「関西弁?」
彼女がそう断定したのには理由があった。
昨日お好み焼き屋で関西弁を話す店員に会ったからだ。
視線を店の前の商品に見入ってる二人組に移す。
「!!」
一人はどう見ても昨日会ったお好み焼き屋の店員だ。
「ふゆち」
自然と声が出ていた。
「あっ、昨日のお客さんや」
ふゆちと呼ばれた女性は声の発信場所に目線を移し、本人と確認しつつ言った。
「昨日スマホ間違えて持って帰ったんちゃうか?」
亜季奈が言おうとしていたことを、ふゆちと呼ばれた女性は先に言った。
「そうみたいなんです」
「ほなら今日、昨日と同じくらいに来て。間違えられた方もそれくらいに来るはずやから」
「ありがとうございます。はい、行きます」
「ほな」
ふゆちと呼ばれた女性はもう一人の女性を促し、去っていった。
和食『ひだまり』。
リーズナブルな和食レストランとして百貨店内では有名なお店である。
「なんや知り合いか?」
「せや、昨日来たお客さんやねん」
個々に注文した後口を開いた真夏に、奈津帆が経緯をかいつまんで説明する。
「ケータイ間違いか」
「まなっちゃんは絶対せーへん思うわ」
「やらかしたことはある」
「!?」
真夏のカミングアウトに驚く奈津帆。
ますます真夏と言う人間が分からなくなる奈津帆だった。
最初のコメントを投稿しよう!