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「相変わらず上手いね」
カウンターに座る真夏は奈津帆のお好み焼きを作る手さばきを見て、感心している。
「商売やからな」
奈津帆にしては珍しく普通に返したが、真夏は彼女の手さばきを見るのに必死なため、何も言わなかった。
「いらっしゃい~」
「こんばんわ」
店内に入ってきたのは亜季奈。
「もう一人の人、まだ来てないみたいやねん」
モダン焼きを作りながら、奈津帆が言った。
「そうなんですか」
亜季奈は真夏の隣に座り、荷物を足元に置く。
「こーへんな」
あれから二時間近くが経った。。
奈津帆は相変わらず料理を作っている。
真夏は用事があるからと先に帰ってしまった。
亜季奈は疲れきってカウンターにうつ伏して寝息を立てている。
琉一朗は疲れきって公園のベンチに座っていた。
やっぱり店の名前だけで探すのは骨が折れる。
「ハアハア、ど、どこなんだ」
肩で息をしつつ、辺りを見渡してみる。
トントン。
誰かに体を揺さぶられる。
「こんなとこで寝てたら風邪ひきますよ」
この声はもしかして、さっきの。
瞬間、琉一朗は目を見開いた。
「お店、見つかりましたか?」
さっきの女性だ。
藁にもすがる思いで聞いてみる。
「言ってたお店がわからないんです」
「この近くなんですけど、えっと」
女性は携帯電話を取り出しディスプレイを見て、
「もうでも閉店時間ですね」
と優しい声で言う。
いつの間にか閉店時間になっていたのだ。
「そんな・・・・・・」
ガックリと肩を落とす。
「お家まで送りますね」
女性の声は優しく琉一朗を包み込んだ。
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