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御隠居様が皆に内緒で作った陰間茶屋に遊びに行く刻限が近付く。
影ながら警護をするのも私の役目。
御隠居様は衆道を武士の道として大切にしておられる。
衆道を武士以外にも広げようと陰間茶屋を作られたのだ。
目立つ聞き耳頭巾を頭から外す。
この聞き耳頭巾、頭巾というより犬の頭。
可愛いつぶらな瞳の犬そのものなのだが…
御隠居様はどこで手に入れたのか、謎だ。
しかも、飛猿と言う名の私に犬の被り物とは。
御隠居様の意向は計り知れないものがある。
おっと、いけない。
急がねば。
御隠居様は陰間茶屋の秘密の部屋から秘め事を覗くのが日課なのだ。
今日は御隠居様の好きな衆道の有と寒波の日だ。
この二人の日は御隠居様の興奮が凄く警護も大変だ。
ふぅ、忍者と言う仕事もなかなか大変だと最近特に思う。
だが、神としてでは無く人間としてこの地を見る事も必要だとおっしゃられたのだ。
大変だと思うのは、私が未熟ゆえだろう。
そして今宵も私は御隠居様の警護をする為に屋根を走り天井裏から下を見るのだった。
ー糸冬ー
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