終章

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 入院生活を終えた僕は今日、遅ればせながらの新学期初登校をする。  足にギプスはついたままだがそれも近いうちにとれるという。  医者の話では驚嘆すべき治癒力だという。  ひょっとするとヴェルトが傍にいることで僕の身体にも霊力的なものが巡り始めていてそれが作用しているのかもしれない。  自覚はまったくないけれど。  教室の扉を前にして僕は一呼吸。  大丈夫だ。  夏休みに起こったこと。  経験してきたことを糧に僕は強く生きていける。  何があっても大抵は動じない性格を僕は体得したのだ。  教室に入ると僕がいてもいなくても何も変わらないクラスの風景が映し出される。  ホームなのにアウェーの雰囲気感じさせる魔境。  入院していてしばらくぶりの登校であるにも関わらず大した注目もされないまま松葉杖をつきながら僕は自分の席を目指す。 『あれ? ひょっとして僕、教室間違えちゃったのかなテヘヘ』  とか思ったがそういうわけでもない。  いない者の話はされないのである。  逆に言えば陰口の叩かれることのない僕のクリーンな人間性を表しているともいえる。
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