第二章

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 全身が硬直する。嫌な感じの汗が噴き出すのが分かった。  まさしく急転直下。  僕の人生が……終わりを告げた。  いや、駄目だ。  ここで諦めてはいけない。  言い訳……。  何か言い訳をするんだ!  僕は満を持して振り向いた。  そして、そこにいた女性の顔を見て驚愕する。 「君は……」 「あら? あなたは昨日のツナマヨの人」  そう、部屋の中から出てきたのは昨晩金属バットを手に銃刀法違反者とチャンバラを繰り広げていたあのバット少女だったのだ。 「い、イヤァ、奇遇ダネ」  僕の声は完全に裏返っていた。  少女と再び出会えたという偶然の衝撃とブタ箱行き寸前の土壇場がダブルラリアットをぶちかましてきたせいで僕の頭はパニック状態となっていた。  しどろもどろしながら、僕は垂れてきた額の汗を身近にあった布で拭う。 「それ、私の下着……」  彼女の視線が、僕の額に押し付けられて今はハンカチの代用品という適材適所とは程遠い扱いを受けている黒ブラジャーに向けられた。 「アハハ……」  気まずい沈黙が流れる。 「通報するわ」
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