第二章

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「ごめんなさい! それだけは勘弁してください!」  平身低頭。僕は地に頭を擦りつけ、三つ指を突いて土下座した。  場所が許せば伝家の宝刀ジャンピング土下座を行うこともやぶさかではなかったのだが、このベランダの敷地面積でそれは無理そうだ。 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!  すす、すいませんでした! お願いだから許してぇ!  クズな僕からこれ以上人間の尊厳を奪い取らないで!  最低の人間にしないで下さい!  幼馴染にフラれて引きこもりを始めるような脳味噌プリンのゴミ男にどうか慈悲を……」  僕はとにかく謝った。  自分をひたすら卑下し、相手の許しを請うため惨めに懺悔した。  プライド?  そんな些末なこと。小さい小さい。  この場から無事に逃げ出すためなら僕は泥水だって啜ります。  ケツの穴も差し出しますよ。  いや、やっぱりケツの穴は無理。  声を荒らげ、とうとう泣き真似までしだした僕を彼女はどんな表情で見ているのだろう。 「とりあえず近所迷惑だから静かに」  少女の平淡な声が聞こえる。 「あ、はい、そうですね……」  恐縮しながらゆっくり顔を上げた僕は、そこで汚物を見るような冷たい目で見下ろす彼女の姿を拝んだ。  ああ、これは詰んだな、と思った。
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