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僕は湯呑に手を出し、そっと中身の茶を啜る。
淹れたてなのか、まだ若干熱かった。
息を吹きかけて冷ましながら口に含む。
一方の少女は自らの湯呑には全く触れず、僕の姿をじっと見つめている。
まさか毒入りか……?
いや、まさかな。
え、ないよね、本当にそんなこと。
彼女の能面のような表情を窺っても、その答えを知り得ることはできなかった。
まあ、今のところ体に異変はないし。
遅効性の毒である可能性も残されてはいるが、多分大丈夫だろう。
「…………」
「…………」
お互い無言。空気が重いなぁ……。
彼女を室内で、明るいところで。
バットを持っていない姿を改めて見ると、昨日とは少し違った印象を受ける。
何というか、普通だった。
どこにでもいそうな女の子といった感じ。
いや、どこにでもはいないか。
平均以上に可愛いから。
そんな風にいやらしい目で彼女を分析していると、だんまりを決め込んでいた彼女が静かに口を開いた。
「で、なんであんなことしたの?」
「あ、あんなこととは?」
すっとぼけてみる。
「下着泥棒」
核心を突かれてしまった。
「……」
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