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「あのさ、昨日の……」
「なに? 言っておくけど私、眠いのよ」
スゴク鬱陶しそうにレイちゃんが言った。
「えーと」
「明日は早く起きる予定があるんだから、用がないなら消え失せなさいよ。私を寝不足にするつもり?」
レイちゃんに突き放すような言い回しが増えてきた。
どうやら本気で機嫌が悪そうだ。今は何を言っても突っぱねられそうな雰囲気がビンビンに感じられた。
『昨日の夜、あの刀を持ったやつと戦っていたよね? よかったらアレ、僕も仲間に入れて欲しいなぁ。一緒に戦いたいなぁ』
眠くてイライラしている今のレイちゃんにそんなタワゴトを抜かしたら、僕はきっと金属バットでぶん殴られる。
そんなビジョンが鮮明に目に浮かんだ。
「やっぱりなんでもない。またね」
ここで焦ってタイミングを間違え、断られてしまっては意味がない。後日、日を改めて臨もう。
「またはないわよ」
「じゃあね」
「はいはい。サヨウナラ」
目の前でピシャリとドアが閉じられる。
それは僕とレイちゃんの生きる世界を明確に区切る仕切りのようで。
まあなんつーか、僕と彼女との間にある溝はマリアナ海溝より深かった。
「ふぁーあ……」
欠伸がこぼれる。
僕もなんだかんだ言って眠い。
今日のところは一時撤退。
明日から頑張ろう。
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