第三章

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 レイちゃんはこの間と変わらないセーラー服姿だった。  私服が見れるかもと楽しみにしていたのに……。  なんで夏休みに制服着てんだよ。  しかし髪型は以前とは異なり、低い位置で結んだおさげに近いツインテールだった。  レイちゃんは僕に気が付くと目を丸くして驚いたような顔になる。  僕はよし、と心の中で呟いて彼女に親しげに話しかけた。 「やあレイちゃん、数時間ぶり」 「あなたなんで私の家の前をウロウロしているのよ」 「いや、昨日運命的再会をした女の子のご尊顔をまた拝見したくなってね」  そんな軽口を叩く。 「警察を呼ぼうかしら」 「ごめん、それは勘弁して下さい」  僕は手早く頭を下げた。  エッジの効いた、素晴らしい謝罪ポーズだった。  全国の不祥事を起こした芸能人は僕のこの姿を写真に収め、参考にするといい。  出だしからかなりつまずいた形だが、今日は話を円滑に進めるための武器、必殺手土産がある。  母親が家族に内緒でこっそり購入し、密かに食おうとしていた未開封の洋菓子セットをくすねて持ってきたのだ。  斉藤に言わせると女の子は大概、もれなく皆甘いものが大好きなのだという。  これで機嫌がよくなれば話くらいは聞いてくれるはず。 「実は君にお土産があるんだ」  自転車の籠に放り込んであった手提げ袋から菓子の包み箱を取り出す。
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