Ep1 escape-2

2/6
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
俺はひたすら走っていた。 何処へ行くか全く決めずに。 ただ廊下を思い付く限りに走る。 だがそろそろ息が切れそうだ。 何処かで休みたいが、廊下で休むわけにはいかない。 「!」 ふと左を見た時、そこにトイレの文字があった。 ここなら個室で鍵もあるから充分休める。 俺は迷いなくトイレへ行き、一番奥の個室に入った。 「ふぅ……」 便座の上に座り、息を整える。 気付けば脂汗でシャツがびっちょりだ。 「まぁ……あれを見たら、な」 俺が窓を見たとき、偶然映ったもの。 それは先生がぐちゃぐちゃのミンチにされるところだった。 それに恐怖した俺は、トイレに行くと行って飛び出したのだ。 逃げるために。 ……その場にいたほうが安全と普通は思うが、俺の勘が逃げろと言った。 冷静を欠いていた俺は、それが最善だと信じようと思うしかなかった。 状況、情報。 そんなものが理解できず分からないから。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!