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俺はひたすら走っていた。
何処へ行くか全く決めずに。
ただ廊下を思い付く限りに走る。
だがそろそろ息が切れそうだ。
何処かで休みたいが、廊下で休むわけにはいかない。
「!」
ふと左を見た時、そこにトイレの文字があった。
ここなら個室で鍵もあるから充分休める。
俺は迷いなくトイレへ行き、一番奥の個室に入った。
「ふぅ……」
便座の上に座り、息を整える。
気付けば脂汗でシャツがびっちょりだ。
「まぁ……あれを見たら、な」
俺が窓を見たとき、偶然映ったもの。
それは先生がぐちゃぐちゃのミンチにされるところだった。
それに恐怖した俺は、トイレに行くと行って飛び出したのだ。
逃げるために。
……その場にいたほうが安全と普通は思うが、俺の勘が逃げろと言った。
冷静を欠いていた俺は、それが最善だと信じようと思うしかなかった。
状況、情報。
そんなものが理解できず分からないから。
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