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「ふぅ……」
もう一度息を整える。
もやもやしたものをすべて吐き出し、冷静さを取り戻すように。
だが冷静さは戻らない。
気付けば足が、手が震えていた。
「逃げなきゃいけない。逃げなきゃいけない!震えてる場合じゃないんだ!!」
俺は自分に言い聞かす。
だが震えは止まるどころか強くなるばかり。
早く逃げないといけないのに。
──そう思った時だった。
今まで聞いたことの無い破壊音が響いた。
ビックリしたからか震えは止まっている。
今しかない。
そう感じた俺はすっと立ち上がり、再び逃げ始めた。
あてもなく、ただ走るだけ。
そうしている内にあることに気づく。
校舎の異質さに。
爆音がしてからかまでは分からないが、明らかにおかしい。
なんなのか考えようとした時、ふと気付く。
「悲鳴がない?」
そう、校舎に響く爆音がしたのに、異常が起こってると言うのに──悲鳴が聞こえない。
俺が疲れてるから?
「……少し見てみるか」
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