prologue

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憂鬱な思いで俺──新庄直哉は歩いていた。 理由はこれと言ったものはない。 しいてなら、数日前まで長期休み──世間で言うゴールデン・ウィークだった為、まだその時の生活を引きずっているせいだろう。 実質ものすごく眠いし、若干の気だるさを感じ、少し頭がくらくらしている。 だがこうした状況でも高校に通学するには訳がある。 毎日通学するのが当たり前だから、それは勿論。 友達に会えるから、は若干違う。 答えは漫画。 友人が俺のために漫画を持ってきてくれるのだ。 前々から読みたかったあれを。 去年の冬に実写映画化をした、達磨やら招き猫が人間を殺すあの漫画。 映画は見れてないが、それでもあの内容。 あのようなジャンルの漫画が好きな僕にとっては、まさにぴったりのものである。 それ故に俺は通学していた。 ……我ながら下らない理由だ。 そう自分を蔑みつつ、井出川高校の校門を通った。
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