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顔つき普通、成績普通、運動普通──いや、運動は少しできるか。
でもどこから見てもただの普通の人。
同じクラスではあるが、俺の事など気に止める存在ではないだろう。
俺は校舎に入る彼女を見たのち、自分も別なところから入った。
この学校は基本土足だ。
ただ教室だけは上靴使用なので、ロッカーで履き替える必要がある。
まあ一部では面倒だからと、外靴のままな奴がいるのだが。
「おはよう!」
階段に差し掛かった時、今度は比較的明るい男の声が後ろからした。
後ろを振り向くと、俺が予想していた人物、吉田遥斗がニカリと笑っていた。
「おう」
「元気ないなー。まぁどーせまた三日音関連だろう?」
「おう」
「やっぱりな!」
そう言って吉田はにやついた。
俺はそれに少し苛立ちながら、別な話題をふった。
「そういえば、ちゃんと持ってきたよな?」
俺がそう聞くと「勿論!」と、吉田は答え、ビニール袋を俺に見せてきた。
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