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俺はそれを受け取り、中を確認してみる。
お目当ての漫画だ。
「サンキューな。お礼にこれと同じような漫画貸してやるよ。魔法少女の奴」
俺は少し悪どい笑みを浮かべながら言った。
すると吉田の顔が少しだけ青くなり──
「俺が苦手なの知ってるだろ!勧めるなよー!」
と少し怒っているような雰囲気で言った。
補足をすると、吉田はホラー系やグロ系は昔から苦手。
何かその手の噂を聞くだけでも騒ぐくらいだ。
じゃあ何故この漫画があるのかと言うと、ただ単に彼の姉の物であるからである。
読みたいと吉田の姉に言って、吉田に持ってきてもらったわけだ。
……話を戻し、俺は吉田に「冗談だ」と軽く言い、彼を無視して教室へと急ぐ。
理由は早く読みたかったから。
ここまで来ると憂鬱な気分はもうない。
あるのは漫画に対する期待だけだ。
俺は三階につくなり、直ぐ履き替えて教室へ入る。
そして挨拶をそこそこに、窓際最後尾である自分の席につき、漫画を読み始めた。
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