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「だって、ここからビルの入口を見てたから」 思わず本当のことを言ってしまった私に、久弥は少し目を開いた。 しまった。 出て来るのをジッと見て待っていたなんて、引かれちゃったかな。 焦りを感じて肩をすくめる私に、久弥は柔らかく目を細めた。 「今日は裏口から出て来たから」 とイタズラな笑みを見せる久弥に、 「あ……そうだったんだ」 と、なんだか力が抜ける気がした。
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