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トットットン
背後から聞こえた規則正しい足音が俺の前で止まった。
ガァンッ
俺は腹部に衝撃が来て
吹っ飛んだ。
蓮「手間、かかせんじゃねぇよ。
お前如きが。
なに?
お前、俺のこと、舐めてんの?
それとも
陸上部で、県大会でも優勝してる事
知ってて
俺から走りで逃げられるとでも思ったわけ?」
俺を見下し
尋ねてくる蓮…本当大嫌いだ。
運動神経抜群で…頭脳明晰で…容姿端麗で…完璧すぎるこいつが…
なんでも持ってて…みんなには優しくて
頼られて…なんで?
なんで俺には冷たく当たったり
こんな風に殴るんだよ…俺がなにしたってんだ!!
唇を噛み締め
涙を堪えた。
蓮「……ねみぃ。
さっさと立てよ。
帰るぞ。
それとも、髪掴まれて歩くか?」
『自分で…歩きます。』
蓮「次逃げたら
承知しねぇからな。」
『…はい。』
結局、牧瀬一家からは逃げられないのか…
いや
こいつから…蓮からは逃げられないって事か?
俺の前を歩く蓮。
いつも俺を蔑んだ目で見て
他の兄妹には優しくて…
学校では完璧な優等生で
部活ではキャプテンで…頼れる先輩で…
俺は…殴る以外で触れられたこともなくて
命令以外では喋ったこともなくて
…なんで俺だけ…こんな目にあうんだよ…
こいつは俺を見てなんかない。
奴隷だ。
こいつにとっての俺は。
これから俺は…また奴隷生活をするんだ。
…蓮が会社に行ったら逃げよう。
なるべく遠くへ…
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