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日に日に寒さが身に染みるようになる冬半ば。街中至るところで雪支度をしている様子が見られるようになった。そんな多忙の中、家を切り盛りする女性たちは俄かににぎわっていた。
「あなた、聞きました? なんでも、あの鯛蔵が来るんですって! この町に!」
「まぁ! あの、市川鯛蔵が!? 歌舞伎役者の!?」
「なんでも、明後日だそうよ!」
「行きたいわ! あぁ、でも子供たちをどうしましょう。旦那はいいとして――」
「そうよねぇ……はぁ、せめて午前だけでも行きたいわ~」
「かといって、旦那に子供を任せる訳にはいかないものねぇ……」
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