一、はじまりのあの日…

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  「あ゙ー!!!あたし午後から叔父……じゃなくて院長の会合ついでに佐々木の御隠居様の往診と中村屋のお婆様に薬届けて子供園の予防接種に行かなきゃなんだった!!!」 過密スケジュールである。 「……ご愁傷様」 「俊也、お疲れ……あたし、とりあえず行ってくるっ!!!」 「形だけやとしても往診鞄忘れんようになー?」 「予防接種もあるんだから大丈夫~」 そう言うと、廊下を走り出した志桜の背中と高い位置で結ばれた揺れる長い髪を見送りながら篠塚はポツリと言の葉を零す…… 「ちっさいのに元気なやっちゃ……」 (気と乳はデカイのに、なんで栄養が身長にいかんかったんやろ?) 佐藤志桜28歳 ――… 同級生に羨ましがられる童顔美少女……否、既に年齢は少女では無いのだが…… 笑ってはいけないが、本人が日夜身長を伸ばすために信憑性は無いもののぶら下がり健康法を試しているのは最大の秘密である。 そして、少しでも童顔を隠す為にかけている伊達眼鏡…… 残念な事に、どっからどう見ても中高生に見えるのは内緒である ――… *
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