第1章

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ざあざあとリビングから漏れ聞こえてくる耳障りな音で目が覚めた。 雨……? いや、違う。 大きくなったり小さくなったりしながら。 波はあるものの、引っ切り無しに響き渡る不快な音に、溜め息を吐きながらベッドから起き上がる。 テレビ……? 今っていったい何時なんだろう…。 窓の外はまだ暗く、コンタクトを外した視力では時計の針どころか数字すら見えやしない。 臣(おみ)君、――― テレビ、つけっ放しで寝ちゃったのかな……。 すやすやと隣で寝息を立てる臣くんを起こさないように距離をあけ、そっと布団を首まで掛けてあげる。 冬の朝は起き出すまでが億劫だというのに。 本当はもう少し眠っていたいけど、こんなに大きな音じゃそのうち臣君が起きてしまう。 面倒くさいな、もう。 そう思いながらもこの音の元凶をどうにかしようと、布団をめくりベッドから抜け出した。
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