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「あれ? これって……」 1、2ページ置きに字体が変わった。 『Dear Ryo』で始まるページと、『J』で始まるページでは書いている人物が違うようだ。 「じぇ……えっと、Jessica……Jessie? え?」 「見せて――ああ、ジェシーはジェシカの愛称だ。同じ人のことだよ。これは……」 みのりが持つノートのページを、亮が捲っていく。 その距離が居たたまれないみのりには全く気付かない様子で、亮は数ページ確認してから確信したように言った。 「交換日記だな、これ」 ごくんと玲奈が唾を飲み込んだ音が聞こえてきた。 「へえ、ジェシカ。それが父の不倫相手の名前なの」 それは背筋が凍るような冷たい声だったが、実際にそのノートを目にしているみのりも亮も冷静だった。 「これ多分、俺たちくらいの歳の頃のだろう」 「うん、まだ結婚どころか、玲奈のママとは出会ってもいない大昔だと思う」 「そもそも不倫で交換日記はしないだろ」 「うわ、確かに! 怪しすぎるわ」 2人が口々に言って笑い出すと、玲奈はほうっと大きく息を吐き出して脱力していった。 漸く少しは安心出来たのだろうか、と、みのりはその姿を確認して苦笑する。 「どうする? 玲奈……これ全部、読む?」
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