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2人はあたふたと隠し場所を探したが、すぐには見つからない。 切羽詰まった亮が尻の下からクッションを抜いて、それを缶の上に被せようというところで、ドアは外側から開かれた。 「休んでたんじゃなかったの? もう大丈夫?」 「大分良くなった。心配かけたわね」 精神的にか体力的にかなど突っ込んで聞くことは出来ないが、具合を悪くして寝込んでいたにしては玲奈の母親はきちんとした格好をしていた。 寝てなどいなかったのでは、と、みのりは一瞬不審に思った。 否、もしも本当に寝ていたのだとしても、飛び起きるに違いないだろうことがさっき起こったではないか。 玲奈の常軌を逸した大泣きは、母親の寝室にも聴こえていたに違いない。 それで目が覚めて、来客に気付き身支度を整えたのだとしたら合点がいく。 ――だとしたら……。 みのりは、亮がなんとかクッションの下に隠した缶をちらりと見やった。 端がはみ出ているし、座布団代わりのクッションなのに上に座るでもなく両手で押さえつけているのも違和感だらけだ。 すぐに見つかってしまうだろう。 しかし、目が覚めていれば階下に降りる気配には当然気付かれたはずだ。 会話はどれだけ漏れ聞こえたのだろうか。 玲奈の母は、この缶がここにあることを既に知っているのかもしれない。 それで、中を見ないよう止めに来たのだろうか。 泥棒のように人の家を勝手に漁ったことも含めて、怒られる覚悟を決めた。
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