第1章

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   連れてきたのは、公園で。  小さめの公園に人はいない。  近くには大きな公園があるから、子どもはそっちに行ってるのかも。  遊具も、向こうの方が揃っているし。  ここの公園は年中囲いのように葉が生い茂る木が生えていて。  ちょっとその木々に入り込めば、人に見つからなかったりする。  子どもたちの隠れんぼにはうってつけ。  まあ、近隣の子どもに教えてもらったんだけど……そこへ蒼を連れてきてしまえば、蒼は俯いた顔を上げようとしない。  そんなに変な格好で来たのかな? 「変な格好って言ってたね。見せて?」  茂みの囲いは、もう行き止まり。  足を止めて蒼を前に立たせて言うと、勢い良く顔を上げた蒼の目が見開いた。 「えっ!? 無理! こんな、外なんか……無理! や、やっぱり……帰ろかな……ちょ、ちょっと出直して……ひゃっ!」  慌てたように僕の横を通り過ぎようと足を踏み出す彼女の腕をとる。  そこまで変な格好だと態度で示されたら、益々気になるよ。  良い方に考えて……急いで来てくれたってことにすれば、パジャマとか。  でも、それだとコートから見える彼女の足は……?  ちゃんとブーツも履いてるし。 「は、離して! 帰る! やっぱり、こんなん恥ずかしすぎて……アカン、ほんまにアカン!」 「恥ずかしい……?」  まったく、彼女のコートの下に着ているものが検討つかない。  なにを恥ずかしがっているのか。  何故、帰りたがっているのか。 「蒼。誰も見てないからさ……少しだけ見せて?」  掴んだ腕を引いて、彼女の耳元に小さく頼んでみる。  顔を赤くした彼女がそこまで恥ずかしがるなんて。  見てみたくて仕方ない。 「はうっ……む、むりっ。ほんまに……」 「一瞬で良いから。それを見たら、出直してきて良いから」  出直すなんてさせない……けどね。  一瞬だけでも、見てみたい。  蒼の言う、変な格好を。  僕だって、こんなにボサボサな頭なんだし、おあいこだって思えるんだけどなぁ。  
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