第1章

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   沢山のお土産を手に、新幹線に乗り込む。  昨日、総司の体調が悪いって聞いたばっかりで。しかも、軽い風邪って聞いたのに……頻発してた咳は軽いものじゃなかったんやな。 「由良は、誰から聞いたん? 総司の風邪がひどいって」  隣に座る由良は、カメラのメンテナンスをしている。  綿棒で、至るところをほじってる……。 「ん~、ひ、み、つ☆」 「……あ、そう」  なんで秘密?  よう分からん。  前に京都に来たとき、夏に道場へ総司と土方が来たときに連絡先でも交換したんかもしれんなぁ。 「あんまり私は沖田総司について詳しくないんだけど、蒼ちゃんは幕末、新撰組の沖田総司の死因を知ってる?」  綿棒を持つ手が、ピタリと止まった。  それと同時に、真面目な声を出した由良に首を傾げてみれば、由良は何故か苦笑を漏らして。 「うん、結核やんな」   「結核の始まりは、風邪と症状が似てるんだってさ」 「…………あ……」  言われて、私は気丈に振る舞うような昨晩の総司の声を思い出した。  風邪と似た症状で始まる結核。  それが前世の死因である総司……不安やったりしたんかな?  今は医療が発達してるとはいえ、そういう記憶の苦しみは……不安とか甦らせたりする?    なんやろ……急にめっちゃ総司に会いたくなってきた。 「友達だもん、前世の死因がそうだと知ってて、放ってはおけないと思わない?」 「ほんまやな! はよ会いに行こう!」 「うん、元気になってほしいよね?」 「当然! 総司が元気になるんやったら、何回でもお見舞い行くし、看病だってしたいくらいやもん」  由良は、鋭いなぁ。  前世の死因のことなんか、すっかり頭から抜けとった。  しかも、最近はずっと……周りにおる生まれ変わりの友達が、生まれ変わりってのさえ忘れることが多くて。  結核が死因やった総司は、昨日の夜……どんな思いで電話してきたんやろ。  そう思ったら、何でもしてあげたくなる。  元気になるなら、なんだって。  
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