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土方さんの意地っ張りが、キッチンから退きそうにないし……携帯を拾って手にしてみたけど。
電話、しなきゃな。って思いながらも出来ない。
玉砕覚悟でクリスマスを誘ってみれば、口ごもられて。
風邪をひいてるのも、バレバレで。
心配させるだけだって分かってたけど、心配されたかったのもあったり。
そんな気持ちでかけた電話を切ったのは、タイミングも読めない意地っ張りな土方さんのせいだ。
クリスマス。誘って断られたら笑われそうだし、切ってしまった。
後でかけようって思ってたのに、ここに居座ってくれちゃって……まだかけれてない。
さすがに、昼も近くなってきたから連絡の一本くらいしなきゃと思うのに……情けないほど出来ない理由を並べちゃってみっともないよね……。
風邪と共に、弱気の虫が体に入ってるのかな……?
「まーた、電話とにらめっこかよ」
「料理に集中してください」
顔を覗かせた土方さんは、一つも完成しない料理を作る気があるんだろうか?
「しゅ、集中してるっつーの」
投げやりに返された言葉に、ハァとため息を送りつけてやれば、土方さんが忙しなく動き出したのが音でわかった。
ほんと……出来ないくせに何を頑張ろうとしてるんだか。
なんて、思った時だった。
ーーーーピンポーン
不意に部屋の呼び出し音が鳴る。
部屋の呼び出し音というのは、寮の受付の内線電話の機能を果たしていて。つまり、来客を受付が知らせてくれるというもの。
「誰か来たみたいですよ~、土方さん」
「誰だよ、邪魔くせぇな……はいはい、出ますよ」
土方さんの部屋じゃないのに、気を使ってか面倒そうにしながらも土方さんが受話器をとる。
土曜の昼の来客……か。
来るとすれば、久坂とか入江なもんだけど……たいてい土方さんを訪ねることの多い二人が来るなんて……珍しい。
「はい、沖田の部屋です……来客なら帰してください」
「ありゃりゃ、勝手に帰しちゃうんだ」
まあ、良いけど。
誰かと遊ぶ元気もないしなぁ。
「えっ……は? え、ええ!?」
「…………?」
あれ?
なんだろ、受話器を持ったままの土方さんの顔が固まってる……?
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