163人が本棚に入れています
本棚に追加
そこからはもう、一直線だった。
職人が手掛ける作品を世に売り出す。
そういった職業に就けるように、インテリアや家具に関する知識を集めて学んで。
そうやって入社したのがここ、大南商事(だいなんしょうじ)だ。
ちなみに大南は、社長の名字。
入社してからはもう、美島さんを口説く事に全てを注いだ。
彼の気持ちや要望をしっかりと受け止め、時には俺が持って来た話を断られもしたし、
とにかく彼をその気にさせるのにどれだけ苦労したことか。
金儲けをしたいんじゃない。
美島さんのあの素敵な作品を、色んな人に見てもらいたくて。
美島さんの作品は、人の気持ちを動かすことの出来る作品だ。
俺が、そうであったように。
そんな俺の気持ちが通じて、美島さんが全てを俺に預けてくれた時、
どんなに嬉しかったか鮮明に覚えている。
この人と、この人の作品を世に出すことが、俺の使命になった。
最初のコメントを投稿しよう!