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美島さんの工房から帰り、まだまとめなければいけない書類があった俺は、
日が沈みかける中一度会社へ戻った。
一階でエレベーターを待っていると、不意に背後に気配を感じる。
何となく。
本当に、何となくだけど。
ちょっと嫌な予感がして。
あえて振り向かずにエレベーターを待っていると、数十秒後に目の前の扉が開いた。
先に中へ入り、パネルの前に立つ。
そこで初めて、後ろに立っていた人物を目視した。
やっぱり。
内心悪態をつきながら、軽く視線を送り頭を下げる。
「お疲れ様です」
「お疲れ」
低いハスキーボイスが狭い個室に響き、声までイケてるなんてムカつく、とまた悪態をつく。
須藤秀次。
社内切ってのエリートで、営業売り上げナンバーワン。
短めの黒髪を少しだけ後ろに流し、いかにも男らしい眉毛に鋭く細い目。
唇は少し厚めで、それがまた男らしさを際立たせている。
身長だって185以上はあるし、170cmしかない俺としてはそこが一番羨ましかったりもする。
顔良し、スタイル良し、声良し。
頭も良いし、仕事も出来る。
女にモテて、男からは尊敬。
完っ璧な人間。
そして。
俺の、天敵。
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