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お互い何も喋らず、俺は階数が上がっていくパネルをただひたすら眺めていた。
空気が薄い。
早く着かねーかな。
溜息をこぼしたい気持ちをグッと堪え、ひたすら無心になろうとした。
天敵、と言うけれど、実際の所は俺が彼を嫌っているだけで、
向こうからしてみれば俺なんて、足元に転がっている石ころみたいなもんだろう。
エリートの須藤さんは俺の二年先輩だけど、
俺が入社した時にはすでにナンバーワンの成績を継続し続けていた。
彼が受け持つ職人は何人もいて、そのほとんどの職人が展示会を開催した過去がある。
まだ開催していない職人だって、これからきっと売れて行くだろう。
須藤さんの実力は、本物だ。
そして。
だからこそ。
彼が言った、あの言葉に。
心底腹が立って、仕方がなかった。
五年近く経った今も、あの時の怒りは忘れていない。
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