第1章

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そう言われてみれば、サキの眉が少し下がっている気がする。 このリスはただサキの言葉を伝えているだけなのだろうか。それともよほど細かいことにまで気がつくのか。 「サキ、まずは俺のことは気にしなくてもいいよ。サキのが体調がいいのは俺も安心だ。 あと、…その、力を使うのは怖くないのか? 俺は獣使いについてあまり知らないから…。 そんなに気にすんな」 それを聞いて安心したのか、サキが笑顔になった。 まだ一つ気になることはあるが、それは今じゃなくてもいい。焦る必要はない…と、思う。 「サキ、何か欲しいものとかないか?腹へってんだろ」 若干話題をそらしながらも、積極的に話しかけていく。 今はサキが先決だ。 「……できれば何か暖かいものが欲しいそうでやす」 「そっか。じゃあちょっと待ってて、すぐに持ってくる!」 俺は部屋を飛び出した。 あったかいもの…あったかいもの… 頭に思い浮かんだのはやはりいつの日かのアレだった。
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