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そして口の動きでずっと必死に隠してきたことを告げた。
『ごめんなさい。でもわたしはあなたのことが好きです』、と。
サキの口を注視していた冬馬は信じられないといった目つきで、サキを見返した。
伝われ。伝われ。あなたに、伝われ。
『あなたは受け容れてくれますか?』
ゆっくり、ゆっくり一音ずつハッキリと。
伝われ。伝われ。
すると、冬馬もサキに応えた。
『はい』
サキは目を見張った。
次の瞬間、サキはその力強い腕に閉じ込められた。
サキも動かない腕のかわりに、一生懸命冬馬の首元に顔を埋めた。
ーーーー
ーー
それから、冬馬はしばらくサキを抱きしめた後、
サキを混乱させないように気づかいながら事情を説明した。
サキは冬馬に鞭を向けたことにパニックになり、自分の部屋に閉じこもったこと。
冬馬やお母さん、他大勢がサキの部屋の前で立ち往生した結果、
焦った冬馬が体当たりでドアを壊し強引にサキの部屋に入ったこと。
すると冬馬はパニックのあまり過呼吸になってもがいているサキを見つけたこと。
今、腕が動かないのは冬馬が首をかきむしるサキに思いっきり噛みついてしまったこと。
このことに関しては、冬馬は土下座する勢いで謝ったが、サキはニコリと笑って首を振って見せた。
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