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冬馬は息をつめてそれを見つめた。
やがて、光がだんだんと何かの形になり、しばらくサキの手の上でウネウネと形を変えた。
ひとしきり動いた後、光は何事もなかったかのように溶けるように消えると、
光の中心にいた何かが姿を現した。
それは一声鳴くなり、サキの手から離れ、サキの肩に移動した。
すぐにサキの腕は支えを失ったようにズシンと重くなった。
冬馬はその重みを感じながら、サキの肩のそれを目で追った。
「こ、これは…リス?」
小さな顔に対して大きな黒い瞳。きゅるんと可愛らしく丸みを帯びているしっぽ。
よく動くその目が冬馬を認めるなり、小さな体で冬馬に威嚇した。
「おい、お前! 俺のご主人様に何した!?」
「え、しゃべ…喋った…」
「うるさい! さっさと質問に答えろ、このケダモノ野郎!!」
キーッと喚くリスに、サキがゆっくりと首を捻って、
あろうことかその騒ぐリスの首を噛んだ。
リスはビクッと体を震わし、騒ぐのを止め、今度はサキに文句をつけた。
「な、何をするんですかい!?」
サキは怒ったようにリスを見つめると、明らかにリスがシュンと大人しくなった。
「それなら早く言ってくださいよ…」
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