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「終わっちゃったね……クリスマス」
「楽しかった……志穂。
志穂は楽しかった?」
「うん……楽しかった」
離れたくない、って言ったら遼は困るかな……。
自宅前まで送ってもらったわたしは、じっと遼の顔を見上げた。
「そんな顔しない!
帰したくないって言いたくなるだろ」
切なく顔を歪めてそう言った遼はバッグからあるものを取り出して、わたしの前に差し出した。
小さな箱の中に詰められていたそれは、白くてもこもこした可愛い手袋。
「メリークリスマス、志穂。
今度、待ち合わせする時はきちんとそれ、着けてきて。
今日、手袋を忘れてくれてありがとう」
「……好き…遼、大好き!
また、またデートしようね。
――絶対だよ!」
ようやく上を向いて、気持ちを伝えたわたしを、遼はぎゅっと抱きしめてくれた。
-完-
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