始動

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5:20 左腕に僅かな痺れを感じながら西条は目を覚ました。 寝息をたてる女の頭部に下敷きになった左腕を女が起きない様にそっと抜きベッド脇に脱ぎ捨てた下着を着ける。 外はまだ暗い。 少しの疲労感と眠気を感じるが小さな決意を西条はする。 リビングとキッチンの間の冷蔵庫から外国製のエナジードリンク…Monster energyモンスターエネルギーを取り出し355ml缶のそれの1/3を一気に飲み込んだ。 炭酸と濃い味により身体を起こす。 服と着て財布とスマートフォンを持ち上着を羽織り、玄関へ向かい部屋の鍵とHのマークが刻まれた鍵を持った。 部屋を出てエレベーターを使い地下の駐車場へと向かう。 缶は持ったままだ。 駐車場の壁にシャッターがある。 西条専用のガレージだ。 危険で汚れた仕事の代価として巨額の報酬を西条は得ている。 このマンションの部屋もガレージも報酬の内だ。 財布から取り出したカードキーをシャッターの横にある操作盤のスリットに通し開閉ボタンを押す。 モーターが唸りガレージにしてはかなり広い空間と、多数のクルマやバイクがシャッターの開閉と連動した照明に照らされ姿を表した。 西条はその中の一台の深紅のクルマの鍵を開けた。
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