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しかしこのプロペラシャフトの通し方も本気らしい。
過去に外国製のミッドシップエンジン4WDスーパーカーでエンジン前にトランスミッションをレイアウトした例はあったが、プロペラシャフトはエンジンの下を通してリアデフケースへと繋がっていたためエンジン搭載位置が高くなった。巨大なV12エンジンの為重心は高くなり操縦性に難のあるクルマであった。
本気はそれを避ける為、プロペラシャフトをエンジンの上に持ってきたのだ。正確にはシリンダーブロックとシリンダーブロックの間…バンク間に、クランクシャフトの真上にプロペラシャフトを通したのだ。
プロペラシャフトは各ジョイントの角度を少なくしロスと負担を軽減する為に3分割で、プロペラシャフトサポートをクランクケースの上に持つ。
このレイアウトの為にエンジンも完全に専用設計だ。
一般的にV10気筒エンジンのバンク角は5つのクランクピンで等間隔爆発にするため72度なのだがバンク間にプロペラシャフトを通すのと低重心化の為このエンジンは105度となっており、等間隔爆発にするためオフセットクランクピンを採用している。
居住性は損なわれ、プロペラシャフトを回すというロスはあるがこのレイアウトのお陰で低重心、オーソドックスなダヴルウィッシュボーンレイアウトながら理想的なディメンションのリアサスペンション、大容量のデフ、マスの中心化、低重心化etc…と多くのメリットを得た。
西条はキーをキーシリンダーに挿入し時計回りにひねった。
距離や吸気温度等表示のディスプレイ以外アナログで統一された計器類が目を覚まし、デモンストレーション動作の後0を指す。
西条にとっては何度目であっても神聖なる時である。
センターコンソール中央のカヴァーを跳ね上げセルスターターボタンを押すと
キュュゥウァッウァウァ
ボッ
少し重たそうなクランキングの後、
10組のピストン男カップル女シリンダーが往セックス復をはじ始動めた。
吸気温度は4度。
始動したばかりなので外気温度と同じだろう。
鍛造ピストンのエンジンの為、性能発揮の為には暖気が必要だ。
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