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「大丈夫だよ、最近は女の子どうしで手つないでる子けっこういるじゃん」
「それは中学生とか高校生でしょ」
「いいじゃん。会うの二週間ぶりだよ? で日曜の夜にはもう帰らないといけないんだよ? あと48時間もないんだよ。ああ、やっぱり今日会社早退すればよかった。そしたら千鶴を待たせないでーー」
「繭ちゃん」
「え?」
「さくさく歩いて早くお店入ろう。そんで、さくさく食べて早く家に帰ろう」
繭子はそこで、千鶴が手をほどこうとしないのに気づいた。
思いのほか、千鶴の手が熱いことにも。
千鶴の手は指が細くて長くて、節が少し目立つ。
繭子の手は子どものようにふくふくしていてまだえくぼのなごりがある。
千鶴の手は繭子の手にしっくりなじむし、逆もまたそのはずだと繭子は思っている。
今すぐ千鶴の手袋を外して、繭子の好きなその手に異変がないか検分したくなる。
繭子はつないだ手を少し揺らしてみた。はしゃいだ気持ちがどんどんふくらむ。
「そうだね。でも慌てて食べ過ぎないようにしないとね。あとで脇腹痛くなっちゃうからね」
「黙りなさい」
繭子は猫のように喉をならして笑う。
千鶴の横顔を見て、笑ったときにくっきりする目尻の小さな皺を見とめて、この少し年上の恋人を心の底から愛しいと思った。
fin
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