4人が本棚に入れています
本棚に追加
わたしが勝手に感じている罪悪感だから、そのまま謝ってもなんのこっちゃって思われるだろう。だから謝るかわりに何かをしてみせるべきだと思う。それできっとこのもやもやは解消してくれる。卒業をひかえた最後の文化祭なのだ。三月までのラストスパートを前に、こんな半端な気持ちじゃ巣立てない。
そんな思いを持てあましたまま一日をすごして、放課後の部室にてドリーミーアリスのチューニングをしているとき、わたしはひらめいた。
大胆不敵な笑みをはりつけながら話した思いつきにクルルンが困ったような顔をする。
「わたくし、じつは帆乃と塔子さんは似たもの同士なんじゃないかって思うのですわ……」
「かわいいって言葉にケンカを売っているようなあの子に似ているだなんて失礼しちゃうよ! クルルンでも言っていいこととわるいことくらいあるよ!」
なんて口先では返したけど、じつはちょっと、わたしらしい行動ではないなって自覚はしていた。
「で、どう、みんな協力してくれる?」
「わざわざ答える必要はありませんわよね? 断ったりしてすねられても困ります。ステージにボーカルがわたくしひとりでは役者不足ですわ」
「べつにすねないし! あとクルルンはひとりでもわたしに匹敵するくらい強いし!」
「……強いのですか。帆乃らしい表現ですわね」
最初のコメントを投稿しよう!