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ここさん到着の五分後のことである。
体育館からそう離れていないここなら、わたしたちの演奏が聴こえると思う。はじめのほうで興味を惹ければこっちのものだ。
ここさんに聴かせたい音楽があるんだ。
それから一時間も経たずして――もう間もなくホノアカクサクの出番だった。
着替えをすませて舞台袖でそのときを待つ。
パティとバナっちは制服で、わたしとクルルンだけが特注衣装なのもいつもどおりだった。
わたしは不思議の国のアリスの主人公のようなエプロンドレスを着ている。
ただし一点、大きな違いがあって、通常のアリスのエプロンドレスでは薄青かったりする生地が赤と白のしましまなのである。
名づけて『くいだおれアリススタイル』でキメたわたしだ。べつのものもキメていると思われかねないサイケデリックな出でたちだけど、もうかわいすぎるのでよし!
パンタロン兄貴こと服飾部OBの大学生はホントに良い仕事をする。ホノアカクサク非公式ファンクラブのナンバーひとケタの人員はいずれも精鋭ぞろいだった。
クルルンのドレスはブナンもブナンで似合いまくっているけどおもしろみはないよね。いや、『はじめからおもしろみなんていらない』といわれたら返す言葉はないけどね!
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