#03.黄泉平坂アリス

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 胸もとを強調したつくりで恥ずかしげもなくこれを着られるのはひとえにプロ意識めいたもののなせる業だろう。すそにあしらわれているローマ数字を見て、これは時計をモチーフにしているのだと気づいた。わたしとクルルンで同一の世界観を共有するのはめずらしい。たしかに真鍮めいた色と白とのコントラストが目を惹くと感じる。……いや、ぶっちゃけると男子はみんな胸を見ると思いまーす。  わたしはやらしさをかわいさで駆逐しているので、エロい目では見られないのだ! 強い!  最終的には三大欲求にならぶ第四の欲求の概念を構築できたらよい。  すなわち帆乃欲である。  わたしの音楽なしでは生きられないようにしてやりたい。いかんいかん、ちょっとブラックな部分だ。ここさんはこんなこと思っていないだろうに……言いかえよう。  わたしの音楽でみんなをしあわせにしてあげたいの!  わたし漬けにしてあげたいの! ――いかんいかん、ちがうちがう。  ふとわたしに影がかかる。見ればメンバーがまわりに集まっている。  目配せされる。  高身長のふたりとならぶと平均くらいの背丈のわたしとクルルンが小さく思える。モデル体型のパティとゴリ――たくましい体つきのバナっちがそろって立ったときの威圧感たるや、形容しきれないものがある。味方でよかった。
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