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四人で円陣を組んだ。わたしが差し出した手に、手を重ねられる。
「ホノアァーーッ!」
「「「カクサクッ!」」」
最初のステージで緊張しすぎて『ホノアカク!』『サク!』でよいところをしくじって以来、すっかり定着したかけ声である。恥ずかしさとともに初心を思い出せるのでそういやな気分じゃない。
さあてと、いってみよーっ!
『黄泉平坂アリス』は、死んじゃったアリスが走馬灯で見た自らの食い道楽人生を振り返る歌だ。
死んじゃったのにあっけらかんとしたものなアリスは黄泉の国ではどんなおいしいものが食べられるのかとわくわくしてその坂を下っていくのだった。
なお、このアリスは色気より食い気である。ウサギより、その皮の下の肉なのだ。
内容とは裏腹に底抜けに明るいメロディーは目の前に原色の花が咲き乱れるみたいにまぶしくて、そこに歌声をのせるわたしもまたポップな声をつくっていた。六種類の声色のひとつ『プリティーキャンディホワイト』だった。
突っ走りそうになるわたしをいさめるがごとく、今回もリズムセクションはよどみない。バッキングに徹するピアノはときおり高音できらめいてはじける。
わたしはそれにドリーミーアリスを絡ませる。上空で小鳥が戯れているみたいだ。
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