#04.phoenix

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#04.phoenix

 地響きのような歓声にのみこまれたのだった。  ――黄泉平坂アリスからのmonophonic fairy taleは成功だった。  制服に着替えたわたしは心地よい疲労感を抱きながら観客席にいた。前列の上手側、端からのよっつの席をわたしたちが埋めている。  舞台上ではギタリスト二名とドラマー、ベーシストがスタンバイを終えている。そんななか、彼女はゆっくりとその中央に歩いていく。  小相木ここあ、二十八歳、てんびん座のA型、身長百七十一センチ、体重非公表、趣味は編み物とウォーキング、好きな言葉は質実剛健。  夜中にコンビニにでもいくようなラフな装いなのはいつものことだ。無地のトレーナーにジーンズパンツでも彼女の周囲に舞い踊るオーラがまぶしい。 「どうもみなさんはじめまして! あたしの名前は小相木ここあと言いまして、声優業をやらせていただいております。しかし、それだけにとどまらず、歌手としての仕事もさせてもらえてうれしいかぎりです。こうして文化祭にも出演したりして。ただ、グラビアの仕事は数件しかこなしておらず『誰ですかこの人』と思われているかたがほとんどでしょう。ひとまず顔はいいから声と名前だけでも覚えていってもらいたいわけなんですが……ん、」
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