#04.phoenix

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 …………ただ、仲間うちでもめているだけならよかったのに……トートー、そんな言いかたはよくない。  聞き捨てならなかった。  席から立ち上がって壇上のここさんを見あげる。目礼を一度。  一歩踏み出してから最後にみんなを振り返る。 「わたし、いってくるね」  みんなは神妙な顔でうなずいて送り出してくれる。  心臓に寄り添うような熱感があった。心臓が肉体を駆動させる器官とするなら、この熱感は心を駆り立てるものに違いない。  わたしは燃えている。  ――金輪際トートーに『アレ』とか『一応はプロ』なんて言わせてなるものか。小相木ここあの名を一生忘れさせないステージにしてやる。  後藤塔子よ、そこで見ていろ。 「こんなふうに呼び出してからたずねるのもアレなんだけど……弾けるかな?『phoenix』って曲、いけそう?」 「はい」 「あ、緊張しているね?」 「少しだけ。でも、だいじょうぶです」  緊張をしている自分を認めることで、それすら楽しむ余裕に変えるのだ。胸中の燃えるような熱感は衰えを知らない。緊張してこわばりそうな身体をその熱はあたたかくほぐす。  ついさっきにあわてて取ってきたドリーミーアリスをそっとなでる。
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