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ああ、すごい、プロの人たちはやっぱりすごい。わたしに合わせてくれているのがわかる。
ホノアカクサクの演奏はわたしも一緒につくりあげるものだと感じたけど、この演奏は違う。
わたしは保護されている。
整備された道の上を護衛つきで進んでいるみたいだ。わたしは高級車にでも乗っていて歩く必要もない。良家のお嬢様になった気分だった。そして、その家のあるじはきっとわたしの前にいる女の人だ。
つぎのフレーズを思い返しながら、コードを押さえる手を見つめていたわたしの視線はときおり左前方へと飛ぶ。
その背中を眺めることしかできない。となりにならぶなんて恐れ多かった。
なんどかそんなことをくり返しているうち曲が佳境に入る。その途端、わたしは空想にとりつかれた。
――荒れ果てた大地の上にわたしたちは立っている。地平線まで見渡しても住居ひとつない、枯渇と荒涼の砂色の世界だった。黄土色の外套を全員が着ていて、ドラムセットはサビまみれのドラム缶ひとつっきりになって、ベースとギターはいずれも木切れに絹糸を張ったようなシロモノで、そんななかで彼女だけが両の腕をひろげ佇んでいる。
息を吸う音が聞こえて――そして、
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