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意をけっして、たずねてみよう。どんな答えでもここさんが出したものならば受け入れられる。
「あの、あの演奏は、うまく、できていたでしょうか!?」
ここさんは困っているみたいに眉尻をさげる。少し考えるような間があった。
「うんとね……あたしはあんまりほかの人に上手だね、なんて簡単に言っちゃだめな立場なんだ。あたしのまわりの人たちのことを考えて、慎重に言葉を選ばなくちゃいけないの。あたしの言葉はあたしの成長にたずさわってくれた人たちのぶんの重みも背負っているから。だからね、上手や下手なんてことは言えないよ、ごめんね」
「ああ、至らなくてすみません!」
あやまらせてしまった! あやまらせてしまった! 何やってんだ、ばかかわたしは! ばかだ!!
あわてて起立して頭をさげまくった。
「いやいや、そんなかしこまらなくていいし気にしないでよ」
「は、はい」着席。
「そうだね……うまいやへたは言えないけど、それ以外に湧き起こった感情なら伝えてもいいとは思える、だからうまいへたの判断に代えてこんなことを言おう――あたしがきみの歌声と演奏から感じられたのは率直な愛だったよってね。ほほえましさを覚える、あたたかくてやわらかで、それでもどこか一生懸命で――手をのばしている赤ん坊みたいなさ。あのときの舞台上にはそんなほほえましいきらめきがあった。あたしの五分間はとてもしあわせな五分間だったよ。きみのその、がんばってきた道のりを誇りに思って生きていってほしいって願える」
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