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「あいつにとってここはホームであんたのトラウマになったそこはアウェイだった。比べていいものじゃない」
「それでも、比べてしまうよ。あたしがあの娘の歳だったころはまだまだぜんぜんうまくなかったし、あの娘はもっと化けるんじゃないかな」
「毎朝化けてるだろ。歌舞伎役者さながらに」
「濃いほうだとは思うけど、さすがにそれは言いすぎだよ」
「そうかあ？ まあ逆に感心するよな」
「きみも化粧すればいいんじゃない？」
「化粧品買うくらいなら、楽器関係のもん買うわ」
「そうなんだ。初対面だけど、なんかきみらしい答えだって思う」
「うん、というかあっさり看破されて私は底の浅い人間かってーの!!」
「はは、そんなことないよ。――とにかく、今回はありがとう。きみのおかげで誰もいやな思いをせずに済んだんだ。きみがあたしを悪く言った行動の真意に気づけない人間からはいろいろ言われるかもしれないけどね」
後藤さんはその言葉にあらためて頬をかく。
「いや……だからなんのことだよ？ 買いかぶってんじゃねーよ。あんたを見くびった発言をしたのが結果的によいほうに転がったってだけだろ？」
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