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「どうも後藤さん、なにか用事なの?」
「あー、べつにそこまで用っつー用はないけどよう。つーか、さすがだな。あまりに変わりなさすぎて拍子抜けしたわ」
「どういう意味?」
「いやな、お前らが昨日の責任のなすりつけあいしていたら、私の体調悪い姿を見せて、火に油をどばっとやったろうかと思ったんだが……びっくりするくらい平然としてんだなって。強者のヨユーってのか?」
「知らないし、体調悪くも見えないし」
「なにいってんだ、ここに来るまでにオデコに描いた全音符が全休符になったんだぞ」
「嘘つけ! ……というか、ズイブンいい性格をしているんだね」
「そりゃどうも。私の性格のよしあしなんてのはどうだっていいんだ。そもそもお前には『後藤塔子には音楽よりふさわしいものがある』って言われていただろ、それを訂正してもらわなきゃいけないんだよ」
「なんで? ホントのことじゃないの?」
「かもしれないってだけだろ。そして、私はいま音楽以外にのめり込むつもりはない。だから、お前のあの発言は間違っているんだよ。それに、音楽は私にもっともふさわしいものでなければならない。ほかにふさわしいものがあるならば、そっちをやればいいって話だし、全力で取り組んでいると言えなければ私についてきているあいつらに悪いからな」
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