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たぶんそれは本音なんだろう。ちょっとだけヤキモチをやいてしまう。
「あー、ちょっと! なんだよそれ! なにその、仲間想いみたいな……!」
後藤さんはわたしの言葉にあきらかにうろたえた。
「違う! そうじゃなくて!」
「違わない! てかさ、もういいよ、認めるし謝罪もするよ! ごめんなさい、後藤塔子さんに音楽よりふさわしいものなんてないです!」ぽつりと、「けーおん部の後輩であればよかったのに」
「……!」
わたしがこぼした言葉もまた本音ではあるのだ。いまのこのメンバーとのほほんと過ごすけーおん部もいいけど、後藤さんが後輩であったときに訪れるであろうトラブルに満ちたけーおん部もそれはそれで魅力的だろうなって想像できるのだ。
引き分けたあとでこんな言葉をこねくりまわしても、こじつけとしか思えないと自分で自分に苦笑い。
自分を守るためにするいいわけみたいなものであっても、後藤さんを評価する気持ちはたしかにある。
後藤さんは片方のまゆだけをはねさせて停止していた。今回は即座に『ごめんだ』って返ってこないな、なんて思いながらつけたす。
「あーと、最後のは聞かなかったことにしといて」
こくりと一度うなずくだけだった。わたしはつづける。
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