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腹に回した腕に、少しだけ力を込めて。 濡れたうなじに唇を寄せる。 お湯の中で、陵介の手が俺の手の甲に触れた。 「……」 陵介は少し考えるように黙りこむと、手の甲に触れるだけだった手のひらに力がこもったのが分かった。 「…分かった。もう言わねぇよ」 そう言うと、陵介は立ち上がろうとした。 俺も結構暑かったから、それを手伝って一緒に立ち上がる。 「…あ、そうだ。夏休みになったら美優泊まりに来るから」 不意にそんなことを言ったかと思うと、幾分か動けるようになった陵介はあっさり俺の側を離れた。 「…………は?」 言われた俺は脳内処理が追い付かなくて、それだけ言うのが精一杯で。 「それまでにカレーくらいは作れるようにしような?」 固まる俺をよそに、陵介は意地悪く笑うと浴室を先に出ていってしまった。
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