雨と桜は嫌いですか？

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出勤早々に、上司である近藤課長が渋い顔をして、書類の束を投げて寄越した。

「昨日ので３件目だ。…相沢が目ぇ通したら現場行くから」

「また、ですか…？」

鞄を置いて、後輩から受け取ったコーヒーを片手に、資料に視線を落とす。

「そうだ。別件なんだがな。そういうのが、たて続いてる。全く参るよ」

資料には、夫婦間でのトラブルによる殺傷事件の詳細が記されていて、先週に引き続いて３件目の事件だった。

多忙を極める刑事一課に配属されて、もう３年になる。

張り込みで昼夜問わず仕事の日もあれば、膨大な資料を調べるのに、泊り込む日もあった。

「…今回、亡くなってますね…旦那さん」

先週までの二件は傷害事件で済んでいたが、今回のは殺人事件だ。