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「そうだ。読んだな?…ゆっくりしてたら処理が間に合わなくなる。行くぞ」 「あ、はい。里くん、コーヒーありがとう」 置いたばかりのコートを手に持ち直し、コーヒーカップを後輩の里に返す。 先に出ていってしまった課長を小走りで追いかけると、エレベーターの前で追い付いた。 課長の眉間には、深いシワが寄っていた。 無言のまま、エレベーターに乗り込むと、課長はさっきと同じようにため息をつき、目を伏せた。 「…遣りきれないな。…被害者だったのに、加害者になっちまって」 そんなことになるなんて、誰も思わないで結婚して、一緒に暮らす。 生涯を共にすると信じて疑わず。 「…そうですね」
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