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仕事中心の生活を送っているのは、周知の事実だ。
課長も知っていて敢えて聞くのだろうが、俺はどこか居心地の悪さを感じて目を逸らした。
「…いえ、あまり…。妻に任せっきりです…」
ありのままを声にすると、課長は深くため息をついた。
到着を知らせる小さな音と共に、エレベーターのドアが開く。
一歩踏み出すと同時に、課長はタバコを取り出して、火をつけた。
「…相沢。お前が仕事熱心なのは分かってる。事件に関わる人に対して真面目なのも。…けど…自分の家族はお前にしか守れない」
「…分かっては、いるんですけどね」
何も言わずに居てくれる、悠里に甘えてしまっているのも。
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