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階段を、見る。
明かりのない階段の先は暗く、闇に溶けていた。
電気のスイッチをいれるとパチリ、と小さな音が響いた。
仄かな明かりの灯った階段を、上がる。
階段を上りきると、目の前の部屋が寝室になっている。
ドアノブに、手をかける。
きぃっと微かな音が指先を伝う。外側に開く扉を引くと、室内は真っ暗だった。
「…?…悠里?」
美優が怖がるから、いつもは常夜灯がついている。
何故暗いのか分からずに、呼んだ名前に応える声はなく。
人の、気配もない。
「悠里?」
ベッドに、悠里の姿はない。
美優も。
…いない。
きれいに整えられたシーツにはシワひとつ寄っていなかった。
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